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その時、時計が動いた

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文アルの藤村関連OPの引用を読み解く

文豪とアルケミストがついにアニメになったみたいで。
リリース日からプレイしている身としては非常に感慨深いものがあります。OPのセンスが素晴らしかった。
各動画サイトで、OPがコマ止めしながら見られるようになったので、私も島崎藤村+徳田秋声の一コマ背景の引用文一覧作成に私も挑戦してみました。
確認できる限り右上から行きます。一部しか見えないところも、一節くらいの単位で書き抜き、ご紹介しておきます。
あと個人的にいくつか分からないものもあったのでそれも一緒に最後に書いておきます。

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なかなか単純な気持ちじゃないね
(島崎藤村『田山花袋との最後の對面』)

其の晩も二人は町や海岸を散歩して、帰ってからも遅くまで月光の漂ひ流れてゐる野面を眺めながいうつつら話してゐた。彼は彼女の憂欝な気分を悲しく思ったが、彼は彼女の憂欝な気分を悲しく思ったが、女は自分を如何にして幸福にしょうかと悩んでゐる彼を哀んだ。
(徳田秋声『或売笑婦の女』)

妙に私は手が震えた。
一目に子供の運命が見られるようで可恐しくて、戸が押せなかった。
(島崎藤村『芽生』)

恋は吾身の社にて
君は社の神なれば
君の祭壇の上ならで
なににいのちを捧ささげまし
(若菜集『六人の乙女』おくめ)

この節すこし讀書する暇があつて、いろ/\な好い書物から毎日のやうに新しいことを學ぶ。町々はまだ春先の殘雪のために埋められ、とき/″\恐ろしげな地響きを立てゝ屋根から崩れ落ちる雪の音もするが、この雪に濡れて反つて光を増す槲かしはの葉などの輝くさまは眼もさめるばかり。明るい障子に近くゐて心靜かに讀んで見る書物から受けるさま/″\な感銘の中には、讀者諸君に分けたいと思ふやうなこともすくなくない。
(『桃の雫』より「雪の障子」)

人の世に三智がある
→人の世には三智がある。学んで得る智、人と交わって得る智、自らの体験によって得る智がそれである
(島崎藤村『三智』)

多情も熟すれば美しい。
(徳田秋声『刺繍』)

男は年を取るに従つて、洗練されてくる。しかし女はその反対だと思はれた。
(徳田秋声『風呂桶』)

私は子に甘いと言われることも忘れ、自分が 一人 ( ひとり ) ぼっちになって行くことも忘れて、子供らをよろこばせたかった。
(島崎藤村『分配』)

子の愛に溺おぼれ浸っているこの親しい感覚は自然とおげんの胸に亡くなった旦那のことをも喚起した。妻として尊敬された無事な月日よりも、苦い嫉妬を味わせられた切ない月日の方に、より多く旦那のことを思出すとは。おげんはそんな夫婦の間の不思議な結びつきを考えて悩ましく思った。婆やが来てそこへ寝床を敷いてくれる頃には、深い秋雨の戸の外を通り過ぎる音がした。その晩はおげんは娘と婆やと三人枕を並べて、夜遅くまで寝床の中でも話した。
(島崎藤村『或る女の生涯』)

僕の生涯には暗い影が近づいて來たやうな氣がするね、何となく斯う暗い可畏しい影が
(島崎藤村『伊豆の旅』)

またゝくひまに風吹きて
舞ひ起つ雲をたとふれば
戰に臨むますらをの
あるは鉦うち貝を吹き
あるは太刀佩き剣執り
弓矢を持つに似たりけり
(藤村詩抄「新潮」)

あの母さんの時代も、そんなに遠い過去になった。それもそのはずである。太郎や次郎やもとより、
三郎までもめきめきとおとなびて来て、縞の荒い飛白の筒袖なぞは着せておかれなくなったくらいであるから
(島崎藤村『分配』)

果物は誰方も青いうちに食べるのが、お好きとみえますね。
(徳田秋声『縮図』)

銀子は笑っていたが、その経験がないとは言えず、厠へ入って、独りでそっと憤激の熱い涙を搾し搾りしたものだったが、それには何か自身の心に合点の行く理由がなくてはならぬと考え、すべてを親のためというところへ持って行くよりほかなかった。
(徳田秋声『縮図』)

孤独の寂しさが、心に沁拡がって来た
(徳田秋声『あらくれ』)

今迄の生涯は虚偽いつはりの生涯であつた。自分で自分を欺いて居た。
(島崎藤村『破戒』)

露けき朝の空はて行く
空のながめを誰か知る
露燃ゆるごとき紅の
雲のゆくへを誰か知る
(島崎藤村『若菜集』「鶏」)

力烈しきいかづちの
ふるふがごとくわが魂は
いたくもふるひわなゝきて
思ひなやめる吾胸の
旧き望みは絶えにけり
(島崎藤村『夏草』)

風吹くあした雨の夜半
すこしは世をも知りそめて
むかしのまゝの身ならねど
かゝる思ひは今ぞ知る
(島崎藤村『藤村詩抄』「藪入」)

「こうして見ると、とうさんの肩の幅はずいぶん広いな。」
「そりゃ、そうさ。」と私は言った。
「ここまでしのいで来たのも、この肩だもの。」
「僕らを四人も背負って来たか。」
 次郎は笑った。(島崎藤村『分配』)

馬鹿は死ななきゃ癒らない(徳田秋声『縮図』)

智識は一種の饑渇である(島崎藤村『破戒』)

夕方になってから、津島は大工が張って行った、湯殿の板敷を鍬で叩きこはしてゐた。
(徳田秋声『風呂桶』)

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
(島崎藤村『若菜集』「初恋」)



【読めたが今のところ確認できてない出典】
島崎側からだとちょっと判断がつかないもの色々:

そう思うからいけないんだ
いつ僕がお前を玩具にしたと言うんだ
このくらい愛していれば沢山じゃないか

私たちは気晴らしの玩具だわ
→徳田秋声の『縮図』らしいです。ありがとうございますm(__)m

淵明無一憂
東野幾窮愁
相見還相話
青深両白頭
→陶淵明に関する何かの漢詩っぽいが、ググった程度では見つからない難易度の代物。
 どなたか出典をご存知ならぜひ教えていただきたく。

饒舌――この俺が何と見える
 →文体から判断するに、おそらく、徳田秋声関連の何か?

勿論~…
徳田氏の視点も~…
 →どこかで見た気がする。文字が読めないが、川端→徳田関連だろうか?


読み解いた感想:
藤村に関しては、子供関係の引用が多めです。
『芽生』で三人の子供を失った藤村が、『分配』で自ら稼いだお金を子供に分け与えたり、子煩悩っぷりをアピールするシーンが出てきますが、そういう路線で行くのかもしれません。あの辺は面白いので個人的に楽しみ。

姉・そのさんの最期を描く『或る女の生涯』も盛り込まれていることから、血縁関係からかつてあった愛し子たちを思い出す、みたいな展開になるかもしれないですね。ゲームでは家族関連と恋人関連はばっさり切ってるのでこの引用はちょっと意外でした。

一方で『若菜集』から「初恋」を出典として出してきてることや『若菜集』から詩の出典が多いことなどを踏まえると、詩人藤村としての側面を盛り込んだ展開も想像されます。

まあこの辺は追々アニメが進んでいくとわかるでしょう。
それにしても『破戒』からの出典が「智識は~」とは凄いマニアックですね、私以前、あの箇所を引用した絵を描いたんですがまさか見られてるわけじゃあなかろうな…?(笑)三百ページ超えるところから同じ個所を引用してくるとはなかなか想像してなかったです。でもそれが出て来たのはちょっと嬉しい。

「田山花袋との最期の對面」を盛り込むのは他文豪との関係性重視の文アルっぽさありますね。

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文学・アニメ・映画そのほか、長話がしたくなった時に利用します。
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